馬謖ばしょく)” の例文
憮然ぶぜんとして痛嘆する孔明の呟きを聞くと、馬謖ばしょくは日頃の馴れた心を勃然ぼつぜんと呼び起して、その面にかっと血の色をみなぎらして叫んだ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かわいそうではあったが泣いて馬謖ばしょくを切ってしまいました。
私の小売商道 (新字新仮名) / 相馬愛蔵(著)
小六の胸には、馬謖ばしょくを斬るの気もちで——おい成敗せいばいを決心していながらもまだ——情と正義とが、割りきれずに、乱れ合っていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さきには、あれほど惜しんでいた馬謖ばしょくをすら斬らせた程、軍律にはきびしい彼なのである。けれど今はそれをすら忍んだ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「閣下、この天下多事の際、なぜ馬謖ばしょくのような有能の士をお斬りになるのか。国家の損失ではありませんか」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子のように愛していた馬謖ばしょくを斬ったなども、そのあらわれの一つといえるし、また、劉玄徳が死に臨んで
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、朝廷へは使いを派して、馬謖ばしょくはそのまま陣中に留め、参軍の一将として常に自分の側においた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときに孔明は、諸将と何か議していたが、この報らせを聞くと、そばにいた馬謖ばしょくをかえりみて
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中に、馬良の弟、馬謖ばしょくもいた。瞼を紅く泣きはらした馬謖のすがたは傷々いたいたしく見えた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
襄陽じょうよう宜城ぎじょうの人で、馬良ばりょうあざな季常きじょうという、この者の兄弟五人は、みな才名高く、馬氏の五常と世間からいわれていますが、中で馬良はもっとも逸材で、その弟の馬謖ばしょくも軍書を明らかに究め
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほか、孫乾、簡雍かんよう糜竺びじく糜芳びほう、劉封、呉班ごはん、関平、周倉、廖化りょうか、馬良、馬謖ばしょく蒋琬しょうえん、伊籍——などの中堅以外には、新たに玄徳に協力し、或いは、戦後降参して、随身一味をちかった輩にて
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泣いて馬謖ばしょくをきる伊那丸いなまるの心とよめたので
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(——時に、馬謖ばしょくを斬るも辞せず)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)