香油においあぶら)” の例文
も一人は身体からだ中をぬぐい上げる。残った一人はうしろから髪をく。おしまいの一人は香油においあぶらを振りかける。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
どうかするとその想像を香油においあぶらで基督の足を洗ったという新約全書の中の婦人にまで持って行った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ふん、いい気味だ、思い知ったか。……わたし最初はじめあの人が好きで、香油においあぶらで足を洗い、精々ご機嫌を取ったのに、見返ろうとさえしなかったんだからね。そこでカヤパを情夫いろにして、進めてあの人を
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何もかも緋色ひいろずくめにした部屋の中に大きな蝋燭ろうそくをたった一本ともして、そのまわりを、身体からだ中にお化粧して、その上から香油においあぶらをベトベトに塗った裸体ぱだかの男と女とが
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
御物語も深くなるにつけ、昨日の御心配も、明日の御煩悶わずらいも、すっかり忘れて御了いなすって、御二人の口唇くちびるには香油においあぶらを塗りましたよう、それからそれへと御話がはずみました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)