くっ)” の例文
今めしをくって散歩に出る前にちょっと時間がありますから気焔を御目にかけます。長い小説の面白い奴をかいて御覧なさらないか。そうして『朝日新聞』へ出しませんか。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
たとい帳面づらは細君の説明を聴いて解るにしても、実際月にさかなをどれだけくったものか、または米がどれほどったものか、またそれが高過ぎるのか、安過ぎるのか、更に見当が付かなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
必然きっと餓鬼がきたのだ何か食うとぐ治ると云って、もっている饅頭まんじゅうれた、僧はよろこんで一ツくったが、奈何いかにも不思議、気分が平常に復してサッサッと歩いて無事に登山が出来たと話した事があった
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
そうして明日あしたは何をおいても、まず病院へ見舞に行かなければならないと考えた。しかし次の瞬間には、お延の胸がもうぴたりと夫の胸にくっついていなかった。二人の間に何だかはさまってしまった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)