飛揚ひよう)” の例文
また小なれば、頭を埋め、爪をひそめ、深淵しんえんにさざ波さえ立てぬ。その昇るや、大宇宙を飛揚ひようし、そのひそむや、百年ふちのそこにもいる。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ漫然まんぜんとして空裏くうり飛揚ひようする愛であった。したがってお延の努力は、風船玉のようなお秀の話を、まず下へ引きりおろさなければならなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
爾迦夷るかいすなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
鶯に次いで愛したものは雲雀ひばりであったこの鳥は天に向って飛揚ひようせんとする習性があり籠のうちにあっても常に高くい上るので籠の形もたてに細長く造り三尺四尺五尺と云うようなたけに達する。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ぼくらの窮状きゅうじょうを知らせようというのです、ぼくは、一婦人がたこに乗って、空中に飛揚ひようすることをこころみて、成功したことを、ある本で読んだことを記憶きおくします、いまこれにならってたこを利用し
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
爾迦夷るかいすなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
爾迦夷すなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきして願うらく疾翔大力、疾翔大力、ただ我ためにこれを説き給え。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)