-
トップ
>
-
飛懸
>
-
とびかゝ
知ざるは
人間にあらずといふ儘に
引捕ければ三吉は大に驚き
逃出さんとする所を肥前の小猿
飛懸りて
拔打に右の腕を打落すに雲切仁左衞門は
大脇差を
盜み出さんとする
處に
主人九郎右衞門は目を
覺しヤレ
泥坊と聲を立しかば盜賊は
吃驚なし
用箪笥を
抱へて
逃出んとするを九郎右衞門
飛懸り
遁さじものをと押へるを
脱ぬうち穀屋へ行て
來やうか扨々
腹が
減たお峰や一寸一杯
喰込で行うと
腰を掛け
居處へ當宿の村役人段右衞門と
岡引吉藏
案内にて八州
廻の役人どや/\と
押來り
上意々々と聲を
掛飛懸つて富右衞門を