顔色かほつき)” の例文
旧字:顏色
それに向つて立つて居るのも、これも同じく其年輩らしい老婆の姿で、今しも月の光にさも感に堪へぬといふ顔色かほつきたが、前の老婆の言葉を受けて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
如何かして虚飾みえで無しに骨を折つて貰ひたい、仕事にあぶらを乗せて貰ひたいと、諭せば頭は下げながら横向いて鼻で笑はれ、叱れば口に謝罪られて顔色かほつきに怒られ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
毎日まいにち/\あまりしつこかつたもんだから、とう/\余儀よぎなさゝうなお顔色かほつき
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貴方あなた、大変にお顔色かほつきがお悪いぢや御座いませんか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
流石さすがは若い頃江戸に出て苦労したといふ程あつて、その人をそらさぬ話し振、その莞爾にこ/\と満面にゑみを含んだ顔色かほつきなど、一見して自分はその尋常ならざる性質を知つた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
老爺ぢい盤面ばんめん差覗さしのぞいて、坊主ばうず流盻しりめいさんだ顔色かほつき
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほんにお前どうした、顔色かほつきが良うないが」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
亭主ていしゆとんでもない顔色かほつきで、二人ふたりながめたも道理だうり
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雪枝ゆきえめた顔色かほつきして
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天晴あツぱれといひたさうな顔色かほつき
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)