韓退之かんたいし)” の例文
韓退之かんたいしがいわゆる、牛溲馬勃ぎゅうそうばぼつ、ともに収め並びにうで、良医が用うれば馬糞も大功を奏し、不心得な奴が持てば金銭も馬糞同然だ。
柳宗元りゅうそうげん韓退之かんたいしの文を読むごとに薔薇しょうびみずで手を清めたと云うくらいだから、吾輩の文に対してもせめて自腹じばらで雑誌を買って来て
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
くこれを致すものは即ち「絜矩之道けっくのみち」である。韓退之かんたいしは「其責己也重以周そのおのれをせむるやおもくしてもってあまねく其待人也軽以約そのひとをまつやかるくしてもってやくす」といった。人とまじわるには、その長を取って、その短をとがめぬがい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
いな大いに世の文明を進め人の智識を加うるに稗益あり、かつそれこゝろみ言語げんぎょと文章の人の感情を動かすの軽重に就て爰に一例を挙んに、韓退之かんたいし蘇子瞻そしせんの上に駕する漢文の名人
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
漢学の素読そどくの仕方がまた非常に可笑をかしかつた、文章軌範の韓退之かんたいし宰相さいしやうたてまつるの書を其時分我々は読んで居つたが、それを一種可笑をかしい、調子を附けずには何うしても読めぬので
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
とても韓退之かんたいしなどの夢にも考へつく処ではない。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
韓退之かんたいし曰く、「形ありて声なきものは、物にこれあり、土石これなり。声ありて形なきものは、物にこれあり、風霆ふうていこれなり。声、形とあるものは、物にこれあり、人獣これなり。声と形となきものは、物にこれあり、鬼神これなり」と)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)