面魂つらだましひ)” の例文
それがどうして、七歳なゝつ八歳やつつの幼いものゝ口から出る言葉かと、母は呆れてしまつて、文吾の幼顏をさながほに浮ぶ不敵の面魂つらだましひを見詰めてゐた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
おゝ、面魂つらだましひ頼母たのもしい。満更まんざらうそとはおもはん。成程なるほど此方こなたつくつたざうは、またゝかう、歩行あるかう、いやなものにはねもせう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水茶屋の茶汲女で年を喰つて、醉つ拂ひも武家も、御用聞も博奕打も、物の數とも思はぬ面魂つらだましひです。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
一個白面の貴公子であつた彼は、今やあかぐろい男性的な顔色と、隆々たる筋肉を持つてゐた。見るからに、颯爽たる風采と面魂つらだましひとを持つてゐた。その昔ながらに美しい眸は、自信と希望とに燃えてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「そんな事だらうな、あの面魂つらだましひぢや」