雨間あまま)” の例文
雨間あままというものがすこしもなく、雲行きは悪く、荒れ気味で安心がならなかった。村には長雨のために、壁がいたんだり、土の落ちたりした土蔵もある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
雨間あままを見ては、お勤の暇々に、私も少しずつ手入れをさせ出していたが、そんな或日の事だった。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
雨間あままを見ては、苅り残りの麦も苅らねばならぬ。苅りおくれると、畑の麦が立ったまゝに粒から芽をふく。油断を見すまして作物さくもつ其方退そっちのけに増長して来た草もとらねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
りんの草堤来る夜の雨間あままをあかくつけて胸とどろる 何の号外ぞや
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨間あままを待っているうちに、しかしこう云う自分だって、何時その行末はこんな思いがけないような事になるかも知れないのにと、またしても例の物思いをし出そうとしている自分に気がつくと
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
りんの草堤來る夜の雨間あままをあかくつけて胸とどろる何の號外ぞや
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
木の芽立めだちかをす雨間あままの夜ごもりにかはづは啼きぬまだくくみつつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
木の芽立めだちかをす雨間あままの夜ごもりにかはづは啼きぬまだくくみつつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何か花にほふ雨間あままのくれを妻としありくゆゑはしらずも
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
何か花にほふ雨間あままのくれを妻としありくゆゑはしらずも
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
軒下に四五羽擦り寄り庭つ鳥の雨間あまま待ちつつ夜は近づきぬ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
潮ぐもり春の雨間あままに榜ぐ舟の櫓のおこりて沖べさす見ゆ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この仏えにし深からずつつましく舎利は挟みて春雨間あままなり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
坊が妻梅雨つゆ雨間あままを出てはたく梅の実円し早や色づきぬ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)