雨外套レインコート)” の例文
彼はそう云いながら、手に持った雨外套レインコートと双眼鏡を置くためにうしろの縁をかえりみた。そばに立った千代子は高木の動かない前に手を出した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
オリーブ色の雨外套レインコートも、染料の香気がまだプンプンしているらしい仕立卸しで、硝子ガラスのように光っているエナメル靴のかかとまでも
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
水につかつた桃林を、人は雨外套レインコートの襟をたてて足ばやに、暗いはうへ消えていつた。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
荷を背負って徒歩で行く人々以外に、重い荷鞍と巨大な荷物をつけた馬が、田舎者に引かれて行った。図643は荷鞍の写生で、馬の主人の日笠と雨外套レインコートと二足の草鞋わらじ以外に、荷はつけていない。
この八月の豊原風景はまさしく貴公子の緑の雨外套レインコートだろう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
高木は雨外套レインコートの下に、じか半袖はんそでの薄い襯衣シャツを着て、変な半洋袴はんズボンから余ったすねを丸出しにして、黒足袋くろたび俎下駄まないたげたを引っかけていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
右の手には美術家がかむるような縁の広い空色羅紗の中折帽に、その頃はまだ流行はやらなかった黒皮革かわ飾紐リボンを巻いたのを提げて、左手には水のようなゴム引き羽二重はぶたえ雨外套レインコートとキッドの白手袋と
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)