した)” の例文
旧字:
それまではお勢の言動に一々目をけて、その狂うこころあとしたいながら、我もこころを狂わしていた文三もここに至ってたちまち道を失って暫く思念のあゆみとどめた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
したがつてやかましくもあらうむづかしくもあろうそれを機嫌の好い様にととのへて行くが妻の役、表面うわべには見えねど世間の奥様といふ人達のいづれも面白くをかしき中ばかりは有るまじ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分はきまりの悪い顔をして父のあとしたがった。父はすぐうしろをふり向いた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
運よくばまんの身代十万に延して山梨県の多額納税と銘うたんもはかりがたけれど、ちぎりしことばはあとのみなとに残して、舟は流れにしたがひ人は世に引かれて、遠ざかりゆく事千里、二千里、一万里
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)