鋳造ちゅうぞう)” の例文
旧字:鑄造
カギはほんとうに一つしかなかったのですが、歯科医ですから、みや子に型をとらせて、合カギを鋳造ちゅうぞうするぐらい、わけのないことでした。
妻に失恋した男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
大宝、養老の律令りつりょうがでた。風土記も、古事記も、書紀もあまれた。奈良の遷都も行われた。貨幣も鋳造ちゅうぞうされた。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
幕府で新小判を鋳造ちゅうぞうし、その品質を落としたのは、外国貨幣と釣合つりあいを取るための応急手段であったが、それがかえって財界混乱の結果を招いたとも言える。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
よくはおぼえていないが、江戸時代の砲術家ほうじゅつかで、伊豆いず韮山にらやま反射炉はんしゃろというものをきずいて、そこで、そのころとしてはめずらしい大砲を鋳造ちゅうぞうしたという人である。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
いかにもたどたどしい鋳造ちゅうぞうの仕方のように見えていながら、どこにも硬さや不自由さの痕がない。実に驚くべき技術である。この香薬師像は近年二度目の盗難に逢った。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
政府が鋳造ちゅうぞうせる白銅貨はくどうかの効用について徹底的に論じた一文である。これを以て白銅貨の文化的価値を明かにしたものというく、したがって考現学の資料ともなるものである。
白銅貨の効用 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
建築、絵画、彫刻、染織、蒔絵まきえ鋳造ちゅうぞう、刀鍛冶、仮面打めんうちなども、彼の下で、みな目ざましい発達をみせた。すべて、一道に達した者は、柳営の職座に入れて、これを保護した。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大砲鋳造ちゅうぞう
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
爾来じらい、天平の盛時、諸国に国分寺がたち、聖武天皇が大仏の鋳造ちゅうぞうちょくして、天下の富をたもつ者はちんなり、天下の勢力をたもつ者も朕なり、堂々宣言のある日まで
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
大砲の鋳造ちゅうぞうから指揮訓練の主任。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)