鉄葉ブリキ)” の例文
旧字:鐵葉
兜の鉢はすべて張子でした。概して玩具に、鉄葉ブリキを用いることなく、すべて張子か土か木ですから、玩具のこわやすいこと不思議でした。
我楽多玩具 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
町には古い火の見やぐらが立っていた。櫓のさきには鉄葉ブリキ製の旗があった。その旗は常に東南の方向になびいていた。北西の風が絶えず吹くからである。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せたげても頓着とんじゃくせず、何とか絶えず独言ひとりごちつつ鉄葉ブリキ洋燈ランプ火屋ほや無しの裸火、赤黒き光を放つと同時に開眸かいぼう一見、三吉慄然りつぜんとして「娑婆しゃばじゃねえ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人々は誰でも、簡単な消毒器を持っているらしかった。これは石炭酸の薄い溶液を入れた、小さな鉄葉ブリキの柄杓の上部に、ハンダで鉄葉の管をつけた物である。
鉄葉ブリキふるへるやうな
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ちょっとした葭簀張よしずばりの茶店に休むと、うばが口の長い鉄葉ブリキ湯沸ゆわかしから、渋茶をいで、人皇にんのう何代の御時おんときかの箱根細工の木地盆に、装溢もりこぼれるばかりなのを差出した。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉄葉ブリキ、鉛の銃弾、古い腰掛、浅い木造の桶、箱の蓋、独楽、薄い板、葡萄酒の瓶、硝子の管、バケツ、洋灯の火屋、紙、厚紙、皮の切れはし、銅貨、貝殻、葡萄酒杯、水のみ、護謨管、水銀、蝋燭
草刈等はなおまず、怠らず、たゆまず、ここかしこともとむれども、金属は釘のおれ鉄葉ブリキはしもあらざりき。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)