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金毘羅樣
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こんぴらさま
遣はすにより
緩々と
滯留して
金毘羅樣へも參りたり江戸にもなき
珍らしき
船遊山でもして春になつてから
緩りと歸るがよし然すれば我等も都合して貴樣
達を
見廻しけるに首は
落ず何事も無
健全息災なり依て我が家へ立歸りしぞと
物語りしかば娘は
嬉く是全く
金毘羅樣の御
利益ならんと早々
嗽ひ
手水にて身を
清めて金毘羅の掛物を
述夫々挨拶に及びしが此度兄の病氣の
間違とも云はざれば
金毘羅樣へ
參詣旁々昨夜此清兵衞方へ
到着仕つり
取敢ず御
機嫌伺がひながら先年の御
禮に市之丞同道にて
參上仕つりしと申ければ後藤は
喜びて清兵衞に向ひ貴樣の所の
此客人達は
少し
仔細有て昔し
馴染の者なり
其仔細は
後にて
寛々咄すべし時に長兵衞殿此清兵衞殿と云男は