トップ
>
野鄙
>
やひ
ふりがな文庫
“
野鄙
(
やひ
)” の例文
しかし私は父や母の手前、あんな
野鄙
(
やひ
)
な人を集めて騒ぐのは止せともいいかねた。それで私はただあまり仰山だからとばかり主張した。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神学者の教うる神の観念は、
野鄙
(
やひ
)
低劣
(
ていれつ
)
を極め、そしてその主張は、魂の発達に対して、最も有害なる影響を与える。われ等は断じてこれに与しない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
野鄙
(
やひ
)
と風雅との境界線については、将来も久しく大議論が続くであろう。しかしそんな差別はわれわれの高祖も想像せす、末孫も感じあたわざる差別である。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かくて妾は
宛然
(
さながら
)
甘酒に酔いたる如くに興奮し、結ばれがちの精神も引き立ちて、互いに尊敬の念も起り、時には
氤氳
(
いんうん
)
たる
口気
(
こうき
)
に接して
自
(
おの
)
ずから
野鄙
(
やひ
)
の情も
失
(
う
)
せ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
また宗教の如きも、
僅
(
わず
)
かにその弊害の一部分、即ち
野鄙
(
やひ
)
な迷信的の弊害が残っておるばかりである。されば儒教も宗教も、今日日本に於てそれを一変したのである。
女子教育の目的
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
以前その地の住民
怪
(
け
)
しからず粗暴
野鄙
(
やひ
)
だったに付けて、似合わぬ事の喩えの諺とカムデンは言った。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
我文学に恋愛なるものゝ甚だ
野鄙
(
やひ
)
にして熱着ならざりしも、
亦
(
ま
)
た他界に対する観念の欠乏せるに因するところ多し、「もろ/\の星くづを君の姿にして」などやうなる
詞
(
ことば
)
は
他界に対する観念
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
この批評家の人格の
野鄙
(
やひ
)
さ
粗
(
あ
)
らさ、こせこせした
誹謗
(
ひぼう
)
と毒舌、思いあがった冷酷な機智、一口にいえばその発散する「検事みたいな悪臭」に、チェーホフは
嘔吐
(
おうと
)
をもよおしたのである。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
唯都々一は三味線に
撥
(
ばち
)
を
打付
(
ぶちつ
)
けてコリャサイなど
囃立
(
はやした
)
つるが故に
野鄙
(
やひ
)
に聞ゆれども、三十一文字も三味線に合してコリャサイの調子に唄えば矢張り野鄙なる可し。古歌必ずしも崇拝するに足らず。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
純文学となって、自己身辺の事実のみまめまめしく書きつけ、これこそ物語にうつつをぬかすがごとき
野鄙
(
やひ
)
な文学ではないと高くとまり、最も肝要な可能の世界の創造ということを忘れてしまって
純粋小説論
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
娘を賭けて競争をさせるような
野鄙
(
やひ
)
な事もさせられない。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
洒落
(
しゃれ
)
とか、
野鄙
(
やひ
)
な文句とか、
頓珍漢
(
とんちんかん
)
な理窟とか、嘘や
出鱈目
(
でたらめ
)
とかは、私の知れる限りに
於
(
おい
)
て、全然痕跡もなく、何れも皆真面目な教訓、又は忠言のみであった。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
かく行いかく言った東洋人には、遥かに西洋人に優れた香の知識があったので、自分らには解らぬ事を下等とか
野鄙
(
やひ
)
とか卑蔑するのが今日西洋の文化或る点において退却を始めおる
徴
(
しるし
)
じゃ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
鄙
漢検1級
部首:⾢
14画
“野鄙”で始まる語句
野鄙殺伐