里昂リオン)” の例文
「ああ、驚くべきじゃないか。これは、ホルバインの『死の舞踏トーテン・タンツ』なんだよ。しかも、もう稀覯きこうに等しい一五三八年里昂リオンの初版なんだ」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
里昂リオンにあってはクロワルッスの坂道から、手摺てずれた古い石の欄干を越えて眼下にソオンの河岸通かしどおり見下みおろしながら歩いた夏の黄昏たそがれをば今だに忘れ得ない。
ミラノは伊太利イタリイの大阪だ。商工業地として仏蘭西フランス里昂リオンと同じ程度に活気に満ちた街だけあつて僕の様な風来の旅客りよかくには落着いて滞在の出来ない土地の様だ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
蘇士スエズから上陸して蒸気車に乗て、埃及エジプトのカイロ府につい二晩ふたばんばかり泊り、それから地中海に出て、其処そこから又船に乗て仏蘭西フランス馬塞耳マルセイユ、ソコデ蒸汽車に乗て里昂リオンに一泊、巴里パリに着て滞在およそ二十日
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
『あめりか物語』は明治四十年紐育ニュウヨウクより仏蘭西に渡りし年の冬里昂リオン市ヴァンドオムまちのいぶせき下宿屋にて草稿をとりまとめ序文並に挿絵にすべき絵葉書を
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
... 陳列の場所の広さにつては製作をも少しは送りたい。其れから東京以外にも開くべき都会があるか」と問ひ、「この里昂リオンで自分のデツサンの会を開いたが効果が面白くなかつた。 ...
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
これより先わが身なほ里昂リオン正金しょうきん銀行に勤務中一日公用にてソオン河上かじょう客桟きゃくさん嘲風姉崎ちょうふうあねざき博士を訪ひし事ありしがその折上田先生の伊太利亜イタリアより巴里にきたられしことを聞知りぬ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)