むくい)” の例文
その或る者は労少なくしてむくい多く、而して其の功も亦た多し、かくの如きものに対しては、志願者の数もおのづから多からざるを得ず。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「本当だよ。った男が今晩ると、魔物も其処へ寐に行くんだよ。じきに其の男は病気になるだろうよ。豚を盗ったむくいさ。」
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
今度このたびむくいに如意の珠を進ぜんと思えど、日本人は心しくて持ちたまわん事難し、因ってかの箱をというて取り寄せ開くと中に金の餅一つあり厚さ二寸ばかり
これ彗星が久しき間、吾々から厄介者にされていたむくい故、彼も必ず好意を以て応援してくれるに相違ない
太陽系統の滅亡 (新字新仮名) / 木村小舟(著)
「いや、恐ろしいものです。家庭の上へも悪のむくいが明かに現れています」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この話をば、ほと/\道の曲りめごとにさらへ行くほどに、賣漿婆みづうりばゞはをぢが長物語のむくいに、檸檬リモネ一杯ひとつきたゞにて與へ、をぢと我とに分ち飮ましめ、又別に臨みて我にさねの落ち去りたる松子まつのみ一つ得させつ。
彼にむくいるもの死以外には何ものもないではありませんか。
血液型殺人事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
努力には相応のむくいがありましょう。黄金、地位
しらべよき、歌の涙の、むくいもなくて。
リシダス (旧字旧仮名) / ジョン・ミルトン(著)
唯、すゑのほまれむくいえむとせば
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
この事実にぶつかるごとに、子路は心からの悲憤ひふんを発しないではいられない。なぜだ? なぜそうなのだ? 悪は一時栄えても結局はそのむくいを受けると人は云う。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)