道破どうは)” の例文
「夕立くさき」の一語は穉拙ちせつだけれども、ちょっと他に換うべき言葉が見当らない、穉拙なりにその感じを道破どうはしている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
しそれ地上生活の経験の尊重すべきものであることを強調する、最後の一節に至りては、まことに活眼達識の士にして、初めて道破どうはし得る卓見であると思う。
しかるにこのパラドックスを道破どうはした者は天地開闢てんちかいびゃく以来吾輩のみであろうと考えると、自分ながら満更まんざらな猫でもないと云う虚栄心も出るから、是非共ここにその理由を申し上げて
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「安井では仲平におよめを取ることになりました」劈頭へきとうに御新造は主題を道破どうはした。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すると、向うの家の二階で、何だか楽器をき出した。はじめはマンドリンかと思ったが、中ごろから、赤木があれはことだと道破どうはした。僕は琴にしたくなかったから、いや二絃琴にげんきんだよとてた。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「日頃思っているところをあなたに道破どうはして戴いたんです。学校で相応頭を悩ましたものは経済政策でも銀行論でも何の足しにもなりません。こゝに来て役に立つのは予科の時習った簿記丈けです」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「遠慮はいらないから死ぬさ」と迷亭が言下ごんか道破どうはする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中位ちゅうぐらい。」と道破どうはした。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)