逆流ぎゃくりゅう)” の例文
からだ中の血潮ちしおが、ドキドキと逆流ぎゃくりゅうするようだ。とてもジッとしていられない。が、さりとて、妙に体が硬張こわばって、声を立てることも、動くことも出来ない。
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
アンを自分の妻君だと信じていた仏天青は、全身、血が一時に逆流ぎゃくりゅうを始めたような気がした。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うずまく雲、真黒にとまって動かぬ雲、雲の中から生るゝ雲、雲をさすって移り行く雲、淡くなり、濃くなり、淡くなり、北から東へ、東から西へ、北から西へ、西から南へ、逆流ぎゃくりゅうして南から東へ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
これまでは虚心きょしん平気へいきで、健全けんぜんろんじていたが、一ちょう生活せいかつ逆流ぎゃくりゅうるるや、ただちくじけて落胆らくたんしずんでしまった……意気地いくじい……人間にんげん意気地いくじいものです、貴方あなたとてもやはりそうでしょう
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)