追駈おっか)” の例文
だが、追駈おっかけながら刑事の吹き鳴らした呼笛よびこ利目ききめがあった。それを聞きつけた一人の警官が、丁度その時、賊の前面に現われたのだ。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
宛ながら足の四本に止まるをうらむが如く、一口ひとくちに他の犬をうてしまうことが出来ぬを悲しむ如く、しこ壮夫ますらおデカ君が悲鳴をあげつゝ追駈おっかける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「何が、叔母さん。この日中ひなかに何が恐いんです。大方また毛虫でしょう、大丈夫、毛虫は追駈おっかけては来ませんから。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すると甚藏は是を追駈おっかけようとして新吉につまづきむこうの方へコロ/\と転がって、甚藏はボサッカの用水の中へ転がり落ちたから、此の間に逃げようとする。又うしろから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
橋の上を振廻して、空を切って駈戻かけもどった。が、考えると、……化払子ばけほっすに尾が生えつつ、宙を飛んで追駈おっかけたと言わねばならない。母のなくなった、一周忌の年であった。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何があるものか、活動写真さ」品川は笑いながら「活動写真は活動写真だが、それが少し変なんだ。日活現代劇部の作品でね、『怪紳士』というつまらない追駈おっかけ物なんだが」
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と懐に隠し持ったる短刀どすを引抜きましたから、新吉は「アレー」と逃げましたが、雨降あめふり揚句あげくで、ビショ/\頭まではねの上りますのに、うしろから新五郎はびっこを引きながら、ピョコ/\追駈おっかけまするが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一旦請合った女をむざむざ魔に取られてなるものかと、追駈おっかけざまに足踏をしたのでありまする。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
の如き深夜の大道を、二筋ふたすじの白い光が雁行がんこうして飛んだ。追駈おっかけである。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
豐「居られますまいよ、顔が見たけりゃア早く追駈おっかけてお出で」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
子供のうち悪戯いたずらをして叱られると、内を駈出かけだして、近所の馬鹿囃子ばやしの中へ紛込んで、チャチャチャッチキチッチッと躍っていると、追駈おっかけて来た者が分らないで黙って見遁みのがしては帰ったが
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自動車の追駈おっかけごっこはもう慣れっこになっているのだ。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)