蹌踉々々よろよろ)” の例文
息とともに身を退いて、蹌踉々々よろよろと、雨戸にぴッたり、風に吹きつけられたようになっておもてを背けた。はすッかいの化粧部屋の入口を、敷居にかけて廊下へ半身。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
びしゃびしゃ……水だらけの湿っぽい井戸端を、草履か、跣足はだしか、沈んで踏んで、陰気に手水鉢の柱にすがって、そこで息をく、肩を一つゆすったが、敷石の上へ、蹌踉々々よろよろ
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
支えたかいなが溶けるように、島田髷しまだせて、がっくりと落ちて欄干てすり突伏つッぷしたが、たちまちり返るように、つッと立つや、蹌踉々々よろよろとして障子に当って、乱れた袖を雪なすひじ
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と一言掛けて、発奮はずむばかりに身をひるがえすと、そこへ、ズンと来た電車が一だい目前めさきへカラカラとつかりそうなのに、あとじさりにされ、圧され、あおられ気味に蹌踉々々よろよろとなった途端である。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小児三 ああ、おおきなものを背負しょって、蹌踉々々よろよろ来るねえ。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小児三 あゝ、おおきなものを背負しょつて、蹌踉々々よろよろ来るねえ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)