“踽(よろめ)” の例文
生憎(あいにく)其方(そなた)に踽(よろめ)ける酔客(すいかく)の膁(よわごし)の辺(あたり)を一衝撞(ひとあてあ)てたりければ、彼は郤含(はずみ)を打つて二間も彼方(そなた)へ撥飛(はねとば)さるると斉(ひとし)く、大地に横面擦(よこづらす)つて僵(たふ)れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
良(やや)ありて渠(かれ)の身を起し、旧(もと)来し方に皈(かえ)るを見るに、その来りし時に似もやらで、太く足許(あしもと)の踽(よろめ)きたりき。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
シォウルの外に援(たすけ)を求むる彼の手を取りて引寄すれば、女は踽(よろめ)きつつ泥濘(ぬかるみ)を出でたりしが、力や余りけん、身を支へかねて摚(どう)と貫一に靠(もた)れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
踽(よろめ)く体(たい)をかたわらなる露根松(ねあがりまつ)に辛(から)くも支(ささ)えたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
打晴れたる空は瑠璃色(るりいろ)に夕栄(ゆふば)えて、俄(にはか)に冴(さ)え勝(まさ)る颰(こがらし)の目口に沁(し)みて磨鍼とぎはりを打つらんやうなるに、烈火の如き酔顔を差付けては太息嘘(ふといきふ)いて、右に一歩左に一歩と踽(よろめ)きつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)