跳越はねこ)” の例文
お杉は通い馴れたみちであるから不思議はないが、お葉がうして難所なんじょ跳越はねこえ、渡り越えたかは疑問である。おそらく夢のようで自分にも判るまい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と無駄足をさせまいため、立たせておいて、暗くならん内早くと急ぐ、跳越はねこえ、跳越え、倒れかかるあし薙立なぎたてて、近づくに従うて、一面の水だと知れて、落胆がっかりした。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は又もや燐寸まっち擦付すりつけようとする時、人か獣か何か知らぬが、けわしい岩を跳越はねこえてひらりと飛んで来た者がある。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
怪しの者は首肯うなずいて、たちまちひらりと飛び出したかと見るうちに、樹根きのね岩角いわかど飛越とびこえ、跳越はねこえて、小さい姿は霧の奥に隠れてしまった。お杉は白い息をいて呵々からからと笑った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)