賤劣せんれつ)” の例文
この士君子にしてこの政を施し、この民にしてこの賤劣せんれつに陥るはなんぞや。あたかも一身両頭あるがごとし。私にありては智なり、官にありては愚なり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
其他そのほか一團いちだん賤劣せんれつなる下等船客かとうせんきやくで、自己おのれ腕力わんりよくまかせて、突除つきの蹴倒けたをして、我先われさきにと艇中ていちう乘移のりうつつたのである。
それは驚くべき恐るべき試練であって、それを受くる時、弱き者は賤劣せんれつとなり強き者は崇高となる。運命があるいは賤夫をあるいは半神を得んと欲する時、人を投ずる坩堝るつぼである。
これ等の賤劣せんれつなる婦人と交際する男子を仏蘭西フランスの道徳が排斥するのは日本の其れと同じであらう。さうして自分の驚く事はそれ等の娼婦の需用者がおほむね英米其他そのたの諸外国よりきたれる旅客りよきやくである事である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
人々の賤劣せんれつさとオリヴィエの気長さとに、彼は腹をたてた。