貨幣かね)” の例文
即ちかしこにロメーナとてわがバッティスタのかたある貨幣かね模擬まがひを造り、そのため燒かれし身を世に殘すにいたれる處あり 七三—七五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それが始めて分ったとき、貨幣かねだと思って握っていたのが、枯葉であったより、もっと彼等はキョトンとしてしまった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
お吉其儘そのままあるべきにあらねば雇いばばにはかねやってひま取らせ、色々片付かたづくるとて持仏棚じぶつだなの奥に一つの包物つつみものあるを、不思議と開き見れば様々の貨幣かね合せて百円足らず、是はと驚きて能々よくよく見るに
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それは賊が利口な奴で、『貨幣かねや紙幣は無難だが、宝石類は所持していても売っても足がつき易い』と考えたからです。当節は電信や電話というものがあって、犯罪者も迂闊うっかり出来ませんよ。
然し与右衛門さんは強慾ごうよくであるかわり、彼はうそを云わぬ。詐は貨幣かね同様どうよう天下のとおり物である。都でも、田舎でも、皆それ/″\に詐をつく。多くの商売は詐にかれた蜃気楼しんきろうと云ってもよい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かの者即ち答へて曰ふ、火に行ける時汝の腕かくはやからず、貨幣かねを造るにあたりてはかく早く否これよりも早かりき 一〇九—一一一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
シノネ曰ふ、我はことばにて欺けるも汝は貨幣かねにて欺けるなり、わがこゝにあるはひとつの罪のためなるも汝の罪は鬼より多し 一一五—一一七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そこにはゐのしゝかれて死すべき者が、貨幣かね模擬まがへを造りつゝ、センナのほとりもたらすところのうれへ見ゆべし 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
またポルトガルロの王とノルヴェジアの王とはかのふみによりて知らるべし、ヴェネージアの貨幣かねを見て禍ひを招けるラシアの王また然り 一三九—一四一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
聖アントニオは(贋造まがへ貨幣かねを拂ひつゝ)これによりて、その豚と、豚よりけがれし者とをこやす 一二四—一二六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)