諸足もろあし)” の例文
走り出して七、八間、あッと筒抜けの声が夕暗を流れたかと思うと、男女ふたりの姿は、地に張られていた一本の繩に諸足もろあしすくわれて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、木蔭から徒歩かちの若武者が、太刀を振ってあらわれ出たが、真っ先に進んだ敵の一騎の、馬の諸足もろあしいで仆し、落ちるところを討って取り、つづいて十数人を討ちとった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さっと、飛び退いた金右衛門が、ひょうのごとく身を屈したのは、向うみずな次郎が飛びこんでくるところを、抜いて、その諸足もろあしを払わんとした用意にちがいありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒地の袴を裾長にはいた、紋也の諸足もろあしを力まかせに、ヒューッとばかりにぎ払った。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼の猛烈な白刃が、敵将の前立物に火を発し、その横顔に鮮血を吹かせたことは確かであったが、敵もまた同時に、陣刀を横ざまに抜いて、兵助の諸足もろあしぎ払っていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、諸足もろあしが股の上まで見える。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なぐることの烈しい場合は、それでも、耳が飛んだり、鼻が柘榴ざくろになったりする。敢えて、打ちどころに約束はないのである。横ざまに、諸足もろあしを撲ってぶったおしてもいいのだ。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
杣道そまみちの草むらに、渡辺天蔵は仰向けに倒れていた。——が、三平が踏みまたがって、その胸いたへ、刃の先を向けたせつな、天蔵はふいに起って、敵の諸足もろあしへ両手で抱きついて行った。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐ、宮のおからだもいとのように具足の諸足もろあしられる。