諸侯しょこう)” の例文
おうさまをはじめ諸侯しょこうが、そこにお見えになるのよ。そして、そういうすばらしい御殿のあることが、この地方の名誉めいよとなるでしょう。
からだはせわしいおかげでますます健固けんご、また、諸侯しょこう寄進きしんのおちからで、どうやらわしの寝所ねどこもこのとおりできかかっている」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸は妻恋坂つまこいざかに、あの辺いったいの広大な地を領して、その豪富ごうふ諸侯しょこうをしのぎ、また、剣をとっては当節府内にならぶものない十方不知火流じっぽうしらぬいりゅうの開祖、司馬しば老先生の道場が
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
華族とその華族に属して居るところの平民との関係はまずこういう風ですから、その点から見ると封建制度ほうけんせいどでその華族家なるものはいわゆる諸侯しょこうの位置を占めて居るように思われる。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「学習院と市井しせいの私立中学校とは同日に論じられません。照正様や照常様のところへおいでになるのは島津様でなければ毛利様、松平様に久松様、鍋島様に堀田様、どうまちがってもみんな天下の諸侯しょこうです」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大講会だいこうえおきてとして、そうはまいりませぬ。ご本名ほんみょうをおしたためなきうちは、これを諸侯しょこうひかじょ伝令でんれいすることもならず、ご奉行ぶぎょうとしても、役儀やくぎがら試合をめいじるわけにもゆきませぬ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、京都へまいれば秀吉公ひでよしこうのお力にすがることもでき、公卿こうけい百官の邸宅ていたく諸侯しょこうの門などいらかをならべておりますから、またなんぞうまい手蔓てづるにぶつからぬかぎりもござりますまい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
在府中の諸侯しょこうの留守邸には、他家にも多くの妻子が残されている。三成は、東軍の徳川へ火ぶたを切る先に、大坂表にある大名の妻子を、自分の手に、しちとして収めてしまおうと計ったのである。