語韻ごいん)” の例文
蛮流幻術ばんりゅうげんじゅつにたけて、きたいな神変しんぺんをみせる呂宋兵衛も、臆病おくびょうな生まれつきはあらそえず、語韻ごいんはふるえをおびて昌仙の顔をみまもっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お初は、しつッこい口調で言ったが、平馬はそれには答えずに、じっと、上目づかいで、お初を、にらむようにみつめつづけていたが、モゾリとした語韻ごいん
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「弦之丞殿。それは先日お話しいたしたお千絵殿でござりますが……」と、常木鴻山は気の毒そうに語韻ごいんを沈めた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
闇太郎の、落ちつき払ったこえ——その語韻ごいんを聴きすまして、身を忍ばせた雪之丞、いくらか、ホッとする。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
玄徳はまず彼の語韻ごいん清々すがすがしさに気づいた。低からず、高からず、強からず、弱からず、一語一語に、何か香気のあるような響きがある。余韻がある。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さすがに、お初の語韻ごいんに、驚きがまじる。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
と、声は小さく語韻ごいんはささやく如くであったが、りんたるものをうちにひそめていい、そしてにこと笑ってみせた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その態度は、姿に見えなくても、語韻ごいんに感じるので、お十夜も、殺すべく握っていた大刀を忘れかけた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのお歌にもはや、これまでの後醍醐にはないお心弱い語韻ごいんがどこやらにながれてはいなかったか。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老骨ろうこつとは思われない若々しい居士こじ語韻ごいんのうちに、仙味せんみといおうか、童音どうおんといおうか、おのずからの気禀きひんがあるので、小文治こぶんじはつつしんで聞いていたが、話がとぎれると
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつもに似ず、弱々しい語韻ごいんであったが、そのうちにも、秋霜のようなきびしさがあった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻一句ずつわめいたところで、遍路は、さらに悪びれない語韻ごいんで——。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「このとおり、何か話しても、すぐ語韻ごいんあえいでまいるのじゃ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いているので語韻ごいんにも気が立っていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)