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言掛
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いひかけ
明日
召連べく旨忠兵衞并に
差添の町役人へ申渡され
白洲は引けければ忠兵衞は心も空に立戻り
云々なりと長庵が
言掛し事を
言掛居るぞと聞よりお文はワツと泣出し
掴み掛らん有樣なれば大岡殿
大音聲に
默止爾等は此所を何處と心得る
然も天下の
決斷處なるぞコレ/\段右衞門其方は文を
忘れたかと
誠しやかに
罵しればお富は
惘れて涙も出ず
暫時默して居る
容子に大岡殿は長庵が
言掛なりと思はるれど
態と
詞を
弛められ
双方無證據の
爭ひなれば猶吟味を
遂んと申されるを