覗見のぞきみ)” の例文
されど、そは諸君が寝藁ねわら打乱れたる犬小屋、若しくはふんにまみれし鳥の巣を覗見のぞきみたる時感じ給ふ心地好さに御座候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たのみ外へ遣置やりおき急立せきたつこゝろしづめて覗見のぞきみるにへい四郎は夜具やぐもたれて鼻唄はなうたうたひ居るにぞよく御出おいでなんしたと屏風びやうぶの中にいりぬしに御聞申事がある布團ふとんの上へあがりけれどもなんの氣もつかところ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は先輩の医員の後ろの方から、先生の如是かくのごとき態度を覗見のぞきみながら、先生の「問診」がすなわち既に「道」を楽しむの域に達しているのではなかろうかなどと思ったことを今想起する。
呉秀三先生 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)