見損みそこ)” の例文
見損みそこなっちゃあいけねえぜ、おい。此店ここのまんじゅうみてえに、白ぶくれにふくれていやがって。那珂川原なかがわら勘太郎かんたろうを知らねえのか、てめえは」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
隙を見損みそこなッて、覚えず今吉里へ顔を見合わせると、涙一杯の眼でうらめしそうに自分を見つめていたので、はッと思いながらはずし損ない、同じくじッと見つめた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
そういうお前は一体私を誰だと思うのだ、そんなにお前は私を見損みそこなっていたのか、と『冬』が答えた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御叔母おばさんや藤尾さんが君を誤解しても、僕が君を見損みそこなっても、日本中がことごとく君に迫害を加えても、糸公だけはたしかだよ。糸公は学問も才気もないが、よく君の価値ねうちを解している。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「この野郎、俺を見損みそこなったな、俺は役割だ、城内の役割だぞ」
「だって今、おいらが帰って来ると、若い侍たちが、ぷんぷん怒って出て行ったもの。見損みそこなったの、腰抜けだのって、門をかえって、悪口を叩いて行ったよ」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにっ、おれにも腕を貸さないかと、見損みそこなうな。伝次は、畜生ではないぞ。めしいのお子や尼御前をあやめるような腕は持たぬ。儲け仕事とは何ンだ。山分けとは何ンだ。この外道げどうめが」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見損みそこなッちゃいけないよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)