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西房
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せいぼう
彼は女のさがって往く
房はどこだろうと考えたあげく、
西房の方へ往ってその窓から
覗いた。
東房からさがって来た夫人が物悩ましそうに坐って耳を
澄ますようにしていた。
袈裟、僧帽、
鞋、
剃刀、一々
倶に備わりて、銀十
錠添わり
居ぬ。
篋の内に朱書あり、
之を読むに、応文は
鬼門より
出で、
余は
水関御溝よりして行き、薄暮にして
神楽観の
西房に会せよ、とあり。
老宰相は伜の
寡婦のいる
内房の
西房へ入って往った。寡婦の夫人は
愛嬌を湛えて
舅を迎えた。