蜂雀はちすずめ)” の例文
「兄さん。行っちゃいけませんよ。蜂雀はちすずめもあんな遠くにいるんですし、僕ひとりぼっちになってしまうじゃありませんか。」
よだかの星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
彼はちょっとためらったのち、隣り合った鳥類ちょうるいの標本室へはいった。カナリヤ、錦鶏鳥きんけいちょう蜂雀はちすずめ、——美しい大小の剥製はくせいの鳥は硝子越ガラスごしに彼を眺めている。
早春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
う云ってしまうと蜂雀はちすずめの細いくちばしは、またとがってじっと閉じてしまい、その眼は向うの四十雀しじゅうからをだまって見ていたのです。
黄いろのトマト (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして蜂雀はちすずめのついた青い大きな帽子ぼうしいそいでかぶって、どんどんこうへかけ出しました。
するとおどろいたことは、王子たちの青い大きな帽子ぼうしかざってあった二の青びかりの蜂雀はちすずめが、ブルルルブルッとんで、二人ふたりの前にりました。そして声をそろえていました。
雨はポッシャンポッシャンっています。蜂雀はちすずめはそういながら、こうの方へび出しました。せなかやむね鋼鉄こうてつのはり金がはいっているせいかびようがなんだか少しへんでした。
私の町の博物館の、大きなガラスの戸棚とだなには、剥製はくせいですが、四ひき蜂雀はちすずめがいます。
黄いろのトマト (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)