藤壺ふじつぼ)” の例文
みかど藤壺ふじつぼ女御にょごにお見せになることのできないことを遺憾に思召おぼしめして、当日と同じことを試楽として御前でやらせて御覧になった。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
源氏の心には藤壺ふじつぼの宮の美が最上のものに思われてあのような人を自分も妻にしたい、宮のような女性はもう一人とないであろう
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
藤壺ふじつぼの宮の自邸である三条の宮へ、様子を知りたさに源氏が行くと王命婦おうみょうぶ、中納言の君、中務なかつかさなどという女房が出て応接した。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この時に承香殿じょうきょうでん女御にょごの兄である頭中将とうのちゅうじょうが、藤壺ふじつぼの御殿から出て、月光のかげになっている立蔀たてじとみの前に立っていたのを、不幸にも源氏は知らずに来た。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その月の二十幾日に女二の宮の裳着の式が行なわれ、翌夜に右大将は藤壺ふじつぼへまいった。これに儀式らしいものはなくて、ひそかなことになっていた。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
帝が近く譲位をあそばしたい思召おぼしめしがあって、藤壺ふじつぼの宮のお生みになった若宮を東宮にしたくお思いになったが将来御後援をするのに適当な人がない。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
優しい人であったため、殿上役人なども御所の内が寂しくなったように言って惜しんだ。直接の関係のなかった女官たちなども藤壺ふじつぼの女御を皆しのんだ。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
弘徽殿こきでん女御にょご藤壺ふじつぼの宮が中宮になっておいでになることで、何かのおりごとに不快を感じるのであるが、催し事の見物は好きで、東宮席で陪観していた。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
御殿は藤壺ふじつぼである。典侍の話のとおりに、姫宮の容貌も身のおとりなしも不思議なまで、桐壺の更衣に似ておいでになった。この方は御身分にの打ち所がない。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
藤壺ふじつぼの宮は足りない点もなく、才気の見えすぎる方でもないりっぱな貴女きじょであるとうなずきながらも、その人を思うと例のとおりに胸が苦しみでいっぱいになった。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
帝がことにしばしばおいでになる御殿は藤壺ふじつぼであって、お供して源氏のしばしば行く御殿は藤壺である。宮もおれになって隠れてばかりはおいでにならなかった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これでは後援する外戚がいせきのないほうがかえって幸福が大きいとも見られ、き母君の藤壺ふじつぼ女御にょごが姫宮のために用意してあった数々の調度の上に、宮中の作物所つくりものどころとか
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
なぜこんなに自分の目がこの子に引き寄せられるのか、それは恋しい藤壺ふじつぼの宮によく似ているからであると気がついた刹那せつなにも、その人への思慕の涙が熱くほおを伝わった。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
その中で藤壺ふじつぼ女御にょごと以前言われていたのは三代前の帝の皇女で源姓みなもとせいを得た人であるが、院がまだ東宮でいらせられた時代から侍していて、きさきの位にも上ってよい人であったが
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
思いがけぬことの行なわれたについても、藤壺ふじつぼにはいつもああしたすきがないと、昨夜の弘徽殿こきでんのつけこみやすかったことと比較して主人あるじの女御にいくぶんの軽蔑けいべつの念が起こらないでもなかった。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)