薬味やくみ)” の例文
旧字:藥味
○豚饅頭には支那風にニンニクと木耳きくらげとヤエナリ小豆のモヤシとを豚肉に交ぜ米利堅粉にてツナぎたるがよし。薬味やくみにもニンニクを刻む。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「打ち立てはありがたいな。蕎麦そばの延びたのと、人間のが抜けたのは由来たのもしくないもんだよ」と薬味やくみをツユの中へ入れて無茶苦茶にき廻わす。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
納豆はそのまま混ぜてもよいが、普通に納豆を食べる場合と同じように、醤油しょうゆ辛子からし、ねぎの薬味やくみ切を加えて、充分ねばるまでかき混ぜたものを入れるとよい。
薬味やくみというものは常に少量ですが、絶対に必要です。味覚の発達しているものたちにとっては特に。
その鏡に彼女の姿が映っていることをさとらずに、クラリモンドはいつも二人の食卓のあとで使うことにしている、薬味やくみを入れた葡萄酒の盃のなかに、何かの粉を入れているのです。
生籬の萩が葉を見て花を見てあとはられて萩籬の料になったり、林の散歩にぬいて来て捨植すてうえにして置いた芽生の山椒が一年中の薬味やくみになったり、構わずに置く孟宗竹のたけのこが汁の実になったり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おさとうに薬味やくみに、あまいものずくめ。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
醤油しょうゆだ、薬味やくみだといって、それらにばかりやかましくいったところで、もちろん、それもやかましくいわねばなりませんが、それら工夫のことは第二義のことで
日本料理の基礎観念 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
取り「サア玉江さん、塩は如何いかがです、薬味やくみも取って差上げましょうか。オヤ薬味壺が出ていない。オイ中川君中川君、見渡す処この卓上に薬味壺が出ていない。ウシターソースは何処どこにある、もしや御失念になったのではあるまいか」としきりにキョロキョロ見廻している。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わざわざ素焼すやきにしても可、塩焼き、付け焼きともに可。宴会土産みやげの折り詰の焼き魚を利用するなどもねらいである。この雑炊ぞうすいには、薬味やくみねぎにきざんだものを、混合さすことなどは賢明な方法である。