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苦紛
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くるしまぎ
貸人の有べきやはて不思議なる事もあるものだ
何した譯の金なるやと
良暫く考へしが
而て見れば一文貰ひの
苦紛れに
奴切取強盜を
然るところ、もう八方
塞つて
遣繰は付きませず、いよいよ主人には知れますので、
苦紛れに相場に手を出したのが
怪我の元で、ちよろりと取られますと
と
突貫く、林藏は
苦紛れに
柄元へ手を掛けたなり
家の内を
隈無く尋ぬれども在らず、さては今にも
何処よりか
帰来んと待てど暮せど、姿を
晦せし貫一は、我家ながらも身を
容るる所無き
苦紛れに、裏庭の木戸より
傘も
擎さで忍び出でけるなり。