ほう)” の例文
花茎かけいにはかならずその途中に狭長きょうちょうほうがほとんど対生たいせいしていており、花には緑色の五萼片がくへんと、色のある五花弁かべんと、五雄蕊ゆうずいと、一雌蕊しずいとがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
五月雪消の跡に葉に先立って大きな白いほうを持った水芭蕉の花が、地から湧き出したもののように原を埋めて一斉に咲いた時の尾瀬は、目を驚かすに足るものがある。
山の魅力 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そしてちらっと大きなとうもろこしの木を見ました。その葉はぐるぐるに縮れ葉の下にはもう美しい緑いろの大きなほうが赤い毛をいて真珠のような実もちらっと見えたのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
こげいろのほうをとりすて、青い、やわらかい、まるい、山の精気にみちた、いきいきとしたやつを、夕食の時、いろりの金網でかろくやき、みそをぬったり、酢をつけたり、油をたらしたりして
山の春 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
くきこずえに直径一〜二センチメートルの白花を開くが、その花は四花弁かべんがあるように見えるけれど、これは花弁をよそおうている葉の変形物なるほうである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
とろりとして油のような水の面には、ほぐれ落ちたほうや鱗片の類が、時には何かの花弁や青い葉なども交って、みお筋を後からも後からもと列をなして浮いて流れて来る。
釜沢行 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そしてちらっと大きなとうもろこしの木を見ました。そのはぐるぐるにちぢの下にはもう美しいみどりいろの大きなほうが赤い毛をいて真珠しんじゅのようなもちらっと見えたのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まことに簡単至極かんたんしごくな花ではあるが、これに引きえその白色四へんほうはたいせつな役目をつとめている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)