花牌はなふだ)” の例文
さもなくばくれない毛氈もうせん敷かれて花牌はなふだなど落ち散るにふさわしかるべき二階の一室ひとまに、わざと電燈の野暮やぼを避けて例の和洋行燈あんどうらんぷを据え、取り散らしたる杯盤の間に
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
只今ではおやかましい事でございまして、中々隠れて致す事も出来んほどお厳しいかと思いますと、麗々と看板を掛けまして、何か火入れのさいがぶら下って、花牌はなふだが並んで出ています
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あるとき他巳吉は、懐中に花牌はなふだを忍ばせて、左門を訪ねた。そして左門を籠絡して、八々の手ほどきをした。五局の碁を、他巳吉は否応なしに、三局だけで切上げようとするのである。
日本にほん娼婦は浴衣ゆかたに細帯、又は半襦袢じゆばん一枚の下に馬来マレイ人のする印度更紗インドさらさの赤い腰巻サロンをして、同じ卓につて花牌はなふだもてあそんで居る者、編物をして居る者、大阪版の一休諸国物語を読んで居る者
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
すると、前の女はぐっと酒杯さかずきを乾してから、花牌はなふだを取りあげながらいった。
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)