臓腑はらわた)” の例文
旧字:臟腑
吾輩が臓腑はらわたのドン底のかすの出るところまで饒舌しゃべり尽してしまっても、わかったのか、わからないのかマルッキリ見当が付かない。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかるに、コゼットを見た時、コゼットを取り上げ連れ出し救い出した時、彼は自分の臓腑はらわたが動き出すのを感じた。
復活!……空気は彼の喉の中へ吹き込み、新生の波は臓腑はらわたの底まではいり込んだ。彼は破裂する心地がし、叫びたくなり、苦悶と歓喜との声をあげたくなった。
と云いかけて実親じつおやの無慈悲を思うも臓腑はらわたにえかえるほど忌々いま/\しく恨めしいので、唇が痙攣ひきつり、烟管きせるを持った手がぶる/″\ふるえますから、お柳は心配気に長二の顔を見詰めました。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いい芳香におい臓腑はらわたのドン底までみ渡りましたよ。そうなると香水だか肌のにおいだか解かれあしません。おまけにハッキリした日本語で
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
日増しの魚や野菜を喰っている江戸ッ子たあ臓腑はらわたが違うんだ。玄海の荒海を正面に控えて「襟垢えりあかの附かぬ風」に吹きさらされた哥兄あんちゃんだ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あの声は今日こんにちまで自分わし臓腑はらわたの腐り止めになっている。貧乏というものは辛労きついもので、妻子が飢え死によるのを見ると気に入らん奴の世話にでもなりとうなるものじゃ。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
芝居しべいなんて物を見ると臓腑はらわたが腐っちゃって仕事に身が入らなくなるんだ。アンナ作りごとばかり見てた日にゃ、世の中の事がミンナ嘘に見えて来らあ。ケッ……忌々いめいめしい野郎だ
芝居狂冒険 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三味線知らぬ男が無ければ、赤い扇持たぬ娘も無い。博多は日本中の諸芸の都だ。町人のお手本の居る処だぞ。来るなら来い。臓腑はらわたで来い。大竹を打割って締込みにして来い……。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
臓腑はらわたの底から湧き出して来る戦慄せんりつと共に、我を忘れて大声をあげた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
実際、臓腑はらわたのドン底からふるえ上ってしまったのだ。……爆弾漁業、殲滅せんめつすべし。鮮海五十万の漁民を救わざるべからず……というので、第一着に総督府の諒解を得て、各道の司法当局にげきを飛ばした。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)