脇道わきみち)” の例文
つかず逃たりしが惡者共は何所迄もと猶も間近まぢかく逐來おひきたる故に半四郎は如何にもして逃行んとするをり幸ひ脇道わきみちの有しかば身をひるがへして逃込を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
非常に疲れて、ひどく空腹に苦しみながら、私は脇道わきみちに外れて小徑に入り、まがきの根元にうづくまつて了つた。が、暫くも經たぬ内にまた歩き出した。
維新の際妙な行きがかりから脇道わきみちへそれて遂に成るべき功名をも成し得ず、同輩は侯伯たり後進は子男たり、自分は田舎いなかの老先生たるを見、かつ思うごとにその性情は益々ますます荒れて来て
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
奈良街道ならかいどうからでは、途中でいざりやめくらに会うし、大阪口おおさかぐちから行っても、やはりめくらやいざりに会うので、どちらとも旅立ちには不吉ふきつである、脇道わきみち紀井街道きいかいどうをとおって行けば
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かく思ひ浮ぶるとひとしく身内は熱してつめたき汗をいだし、足は地に吸るるかとばかりすくみて、宮はこれを想ふにだにへざるなりけり。脇道わきみちもあらば避けんと、静緒に問へば有らずと言ふ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
偖て傳吉は脇道わきみちより其の日の八ツ時分に寶田村へ立ち歸り無事に歸國きこくのよしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)