胆気たんき)” の例文
どうして、この絶壁ぜっぺきりるかと見ていると、宮内は、さすがに武士ぶしだけに、いざとなると、おそろしいほど胆気たんきがすわっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
住太夫はお園の胆気たんきと、語り口の奥床おくゆかしいのに打込んで、これこそ我が相続をさせる者が見つかったとよろこんだ。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
袖裏しうり青蛇せいだ胆気たんきなり。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
木村大膳が吹聴ふいちょうしたものとみえる。虎之助の沈着と胆気たんきは城内でも評判になった。いや城下の街ではそれ以上のうわさだという。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その、無法な胆気たんきと、国光のみだれにおびやかされて、周馬は少し気を乱しながら、こう兵字構ひょうじがまえに直って、寄らば——とまなこをいからせた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弾木魂たまこだまに、一瞬いっとき、耳がガーンとすると、もう兵の胆気たんきはすわっていた。——しかし、気がついてみると、その隊だけ、本隊から置き捨てられていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
快川和尚かいせんおしょうの三十ぼうきたえあげられたかれである。目をひらけば、絶景ぜっけい! とさけぶだろう。それくらいな胆気たんきはある、きっと、それくらいなきもはすわっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「狼狽してもしかたがない。こんな時は、よけい胆気たんきをすえるに限る」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)