肝玉きもたま)” の例文
背後うしろ野原のはらところで、肝玉きもたま宿替やどがへした。——あれ一面いちめんかすみなかけむりつゝまれて、しろ手足てあしさびいく/\ながら、ほり石垣いしがきけてつるがるやうにえたゞもの。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
俺も昔はかなり頭がよかったんだけど、あまり早くから慾にかかったせいかして、肝玉きもたまが小さくなって相場が当らなくなったんだ。それを助けてくれたのが貴方なんですって……
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
八木君は、肝玉きもたまのすわっている方であった。けれども、青白い鬼火がふわふわと宙におどっているのをこんな場所でしかも心細いひとりぽっちで見物したんでは、あまりいい気持ではない。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)