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聴耳
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ききみみ
ふりがな文庫
“
聴耳
(
ききみみ
)” の例文
旧字:
聽耳
彼は、なにかしら
慄然
(
りつぜん
)
としたように息を詰め、
聴耳
(
ききみみ
)
を立てはじめたのであるが、やがて法水に、幽かな
顫
(
ふる
)
えを帯びた声で
囁
(
ささや
)
いた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
親父と銀子は、時々師匠の前でもやり合い、声がはずんで露骨になり、人の好い師匠が驚いて、傍へ来て
聴耳
(
ききみみ
)
を立てたりすると、親父は
煩
(
うるさ
)
そうに
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
暫時
(
しばらく
)
聴耳
(
ききみみ
)
を
聳
(
たて
)
て何を聞くともなく突立っていたのは、
猶
(
な
)
お八畳の間を見分する必要が有るかと疑がっていたので。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「ミナガレ舟二郎か——こいつはどうも打ってつけの名前だな。あはは。」と法螺忠が笑うと、スッポンが忽ち
聴耳
(
ききみみ
)
を立てて、え?え?え? と首を伸した。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
が、どうなりそれをやり
了
(
おお
)
せると、彼はなるだけ体を動かさない工夫をして、遠くの物音に
聴耳
(
ききみみ
)
を立てた。おりおり男衆の騒いでいるらしい声がきこえて来た。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
▼ もっと見る
彼は
聴耳
(
ききみみ
)
立てていると、いきなり一人の男が向うから逃げて来た。彼はそれを見るとすぐに跡に跟いて馳け出した。その人が曲ると阿Qも曲った。曲ってしまうとその人は立ちどまった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
その時裏で真事の打つ空気銃の音がぽんぽんしたので叔母はすぐ
聴耳
(
ききみみ
)
を立てた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新来の客の一挙一動に興味をもって
聴耳
(
ききみみ
)
を立てていようといった
塩梅
(
あんばい
)
である。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
女中たちが廊下の端に固まって、なにかコソコソいってるのへ
聴耳
(
ききみみ
)
を立てて
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
思へば不思議な一夜でした。千恵はじつと
聴耳
(
ききみみ
)
をたててゐました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
聴耳
(
ききみみ
)
に
胡桃
(
くるみ
)
食
(
は
)
みゐる影我は
坐
(
すわ
)
る
太尾
(
ふとを
)
の栗鼠にかも似る
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼はじっと
聴耳
(
ききみみ
)
を立て廊下の様子を窺った。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうしているうちにも、葉子は時々聞こえる自動車のサイレンや爆音に
聴耳
(
ききみみ
)
を立てていた。彼女の神経に、それが黒須の
追迹
(
ついせき
)
のように思えてならなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
はた赤く、
聴耳
(
ききみみ
)
澄
(
す
)
ます。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
聴
(
き
)
いたような声だと思う声が一つあり、ふと栗栖の声を思い出し、よく似た声もあるものだと、
聴耳
(
ききみみ
)
を立てていたのだったが、錯覚であろうかとも思っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
聴
常用漢字
中学
部首:⽿
17画
耳
常用漢字
小1
部首:⽿
6画
“聴耳”で始まる語句
聴耳筒
聴耳草紙