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老實
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まめ/\
送りけるに或時旅人多く
泊り合せし中に一人の
若黨體の武士あり
風呂に入たる
樣子なるにぞお花は例の如く
老實しく
湯殿へ到りお湯の
加減は如何や
御脊中を
なし細き煙を
立けるが嫁のお菊は
老實しく立働き
孝養怠り無りしかば母のお八重も大に喜こび
睦しくこそ
暮しけれ此お菊は未だ
二十を一ツ二ツ
越し
歳なれば後家を立さするも
愍然ゆゑ聟養子を
茲に
立石が下男に直助と云ふ者有り
元は信州の生れにして
老實しく働きけるが下女に心を
懸種々に
口説と雖も直助は
片田舍の生れにて此下女は江戸の
出生故直助が云ふ事を聞ず
兎角強面當りしを