縷述るじゅつ)” の例文
これに加うるに中国一流の華麗豪壮な調ちょうと、哀婉あいえん切々の情、悲歌慷慨こうがいの辞句と、誇張幽幻な趣と、拍案はくあんたんの熱とを以て縷述るじゅつされてあるので
三国志:01 序 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、綿々として感情を縷述るじゅつする事をせず、その感情を内に蔵して逢著ほうちゃくする人事を写す。読者はその写す所の事を通して、作者の感情をうかがう。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ここにおいて予は便宜上この論文を二段に分ち、その第一段には、性質上結論であるべきはずの東山時代に関する予の意見を、先ず一通り縷述るじゅつしよう。
ついかる兇行を演ぜしめたるものなる事を、以下縷述るじゅつするところの各項の理由に照して、逐次了解するをべし。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
家業破綻はたんの条々を縷述るじゅつし、その上、娘お小夜の急病を報じて宗右衛門の自宅へ復帰することを老師に願ひでた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
天命天聡てんそうヨリ嘉慶道光ニ至ル大小ノ征戦一々コレヲ縷述るじゅつス。マタ附録四巻アリ。一ニ曰ク兵制兵餉へいしょう。二ニ曰ク掌攻考証。三ニ曰ク事功雑述。四ニ曰ク議武。コノ篇諸書ニ比シテ最おそク出ヅ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いまそれについて縷述るじゅつする気もちはないが、壇ノ浦前後のことも、吾妻鏡、玉葉などの、わずか数行の当時のニュース、報告の類が、史実といえば史実といえる程度のもで
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして縷述るじゅつして来ると彼の法螺の底力は殆んど底止ていしするところを知らない。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
親ごころは、つつんでもつつみきれない歓びをすぐ現わして、縷述るじゅつするのであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)