かとり)” の例文
無位無官の人の用いるかとりの絹の直衣のうし指貫さしぬきの仕立てられていくのを見ても、かつて思いも寄らなかった悲哀を夫人は多く感じた。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
武士たちは、こわごわちかづいて見ると、高麗錦こまにしきくれあや倭文織しずおりかとりたてほこゆきくわなどのたぐいで、いずれも権現から紛失した宝物であった。
室の中を見ると、狛錦こまにしきくれあや倭文しずりかとりたてほこゆきくわなどのの盗まれた神宝があった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
数万のかとりふくろかわの嚢が用意されてあった。河水を汲んでは手渡しから手渡しに運び、土門、土楼、土壁、土塁、土孔、土房、土窓、築くに従って水をかけ、また水をかけた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かとりのようで、韓織からおりのようで、——やっぱり、此より外にはない、清らかな上帛じゃ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
さてもかとりきぬならで
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
此のとこの上にきら々しき物あり。人々恐る恐るいきて見るに、二〇二狛錦こまにしき二〇三くれあや二〇四倭文しづり二〇五かとりたて二〇六ほこ二〇七ゆきくはたぐひ、此の失せつる二〇八神宝かんだからなりき。
かとりのやうで、韓織からおりのやうで、——やつぱり此より外にはない、清らかな上帛はたぢや。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)