綸旨りんし)” の例文
勅使の一行が通ってきた北国の駅路うまやじには、綸旨りんし下向げこうのうわさが、当然、人々の耳目からひろがった。そして、念仏門のさかえが謳歌おうかされた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其上、朝令暮改、綸旨りんしたなごころを飜す有様である。今若し武家の棟梁とうりょうたる可き者が現れたら、恨を含み、政道をそねむの士は招かざるに応ずるであろう。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
去年勅諚ちょくじょう綸旨りんし等の事一てつすといえども、尊皇攘夷いやしくもむべきに非ざれば、また善術を設け前緒を継紹けいしょうせずんばあるべからず。京師学校の論また奇ならずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
石山本願寺は、現今いまの大阪城本丸の地点にあって、信長に攻められたのだが、一向宗は階級的な強さがあるので、負けるどころではなかったが、綸旨りんしくだって和議となったのだった。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
周到な勝元は早くも幕府に参候し、義政に請うて宗全追討の綸旨りんしを得て居る。時に西軍が内裏だいりを襲い、天子を奉戴して幕府を討伐すると云う噂が立った。
応仁の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
王必おうひつを刺し殺し、御林の兵権をわれわれの手に収めてから、天子をようして、急使を蜀へはしらせ、蜀の玄徳に天子をたすけよと、綸旨りんしを伝えるならば、この際
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえ、まだ、綸旨りんしが下ったわけではありません。今は、人選に、迷っておるので」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に、帝の綸旨りんしを、請う。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)