紅糸べにいと)” の例文
旧字:紅絲
ぐるりと三人、がなえに夫人を巻いた、金の目と、銀の目と、紅糸べにいとの目の六つを、あしき星のごとくキラキラといさごの上に輝かしたが
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
辻町は、あの、盂蘭盆の切籠燈きりこに対する、寺の会釈を伝えて、お京がかれに戯れた紅糸べにいとを思って、ものに手繰られるように、提灯とともにふらりと立った。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅糸べにいとで白い爪先つまさきを、きしとしきったように、そこに駒下駄が留まったのである。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
金目かねめのものではあるまいけれども、紅糸べにいとで底をゆわえた手遊おもちゃ猪口ちょくや、金米糖こんぺいとうつぼ一つも、馬でき、駕籠かごかかえて、長い旅路を江戸から持って行ったと思えば、千代紙ちよがみの小箱に入った南京砂なんきんずな
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そんな、ただ思いつき、趣向ですか、そんなんじゃありません。あの方、はんけちの工場へ通って、縫取をしていらしってさ、それが原因もとで、あんな事になったんですもの。糸も紅糸べにいとからですわ。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、ぬいとつと、その紅糸べにいとの目が動く。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅糸べにいとの目はまた揺れて
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)