算盤珠そろばんだま)” の例文
一々算盤珠そろばんだまはじいて、口が一つえればどう、二年って子供が一人うまれればどうなるということまで、出来るだけ詳しく積って見た。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
と手品の算盤珠そろばんだまを弾いて見せる訳にはいかなかつた。で、少将は一度手品といふものが見たくてまたらなかつたのだ。
手品師と蕃山 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
かかとのまがった靴をいて、紫色のはかまを引きずって、髪を算盤珠そろばんだまのようにふくらまして勝手口から案内もわずにあがって来た。これは主人のめいである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかし曽我そがだって、一人討つに二人死んでいる。忠臣蔵に至っては一人の為めに四十七人犠牲になっている。斯ういうことは武士道だから、元来算盤珠そろばんだまに乗らないんだ」
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この言葉を聞き此記録を書綴る心を起しぬ、此記録を読むものは何人なんびとも悪事を働きては間職ましょくに合わぬことをさとり、算盤珠そろばんだまに掛けても正直に暮すほど利益な事は無きを知らん
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
手首まで彫つてある剳青ほりものが目立つせゐか、のりの落ちた小弁慶の単衣物に算盤珠そろばんだまの三尺をぐるぐる巻きつけたのも、意気と云ふよりはむしろ凄味のある、自堕落な心もちしか起させなかつた。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今どき算盤珠そろばんだまのとれぬ仕事なんざ馬鹿々々しくてやれんからな。
探偵戯曲 仮面の男 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
と手品の算盤珠そろばんだまはじいて見せる訳にかなかつた。で、少将は一度手品といふものが見たくて堪らなかつたのだ。
かうは言ふものの、依頼者の腹では、を頼めば、潤筆料がどつさり要る。書だとお辞儀を三つばかしすればそれで十分だと、ちやんと算盤珠そろばんだまはじいてあるのだ。