笠森かさもり)” の例文
笠森かさもりのおせんだと、だれいうとなくくちからみみつたわって白壁町しろかべちょうまでくうちにゃァ、この駕籠かごむねぱなにゃ、人垣ひとがき出来できやすぜ。のうたけ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
この事件を担当した予審判事は、有名な笠森かさもり氏であった。彼は普通の意味で名判事だったばかりでなく、ある多少風変りな趣味を持っているので一層有名だった。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
やがてはわがその頃の作品の批判に移りて、かかる種類のものにては笠森かさもりせんが一篇ことば最もおだやかにこころ最もやはらかに形また最もととのひしものなるべしと語られけり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
徳川末期の江戸を彩った、血みどろの世界が、「団七九郎兵衛だんしちくろべえ」になり「稲田新助いなだしんすけ」になり、「直助権兵衛なおすけごんべえ」になり、そして怨を含んで殺されて行く「笠森かさもりせん」の美女殺戮の図となったのです。
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
淡路町あわじちょうからの使いで、例のものが、笠森かさもり近くのさる下屋敷へ入ったことを突止めましたから、御足労ながら至急こちらまでお出かけ下さい。笠森稲荷の水茶屋でお待ち申すという口上でございます」
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「おっと、御念ごねんにはおよばねえ。おかみゆるしておくんなさりゃァ、棒鼻ぼうはなへ、笠森かさもりおせん御用駕籠ごようかごとでも、ふだててきてえくらいだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「そうよ。おまけにこいつァ、ただのおんなつめじゃァねえぜ。当時とうじ江戸えどで、一といって二とくだらねえといわれてる、笠森かさもりおせんのつめなんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)